家を建てる時ローンを組んだ方が得か?
家を建てる時、「今は金利が安いから、ローンを組んだ方が得ですよ。」と言われました。それは果たして本当なのでしょうか?
金利が安いか高いかは、ローンを借りる上では安い方が良いに決まっていますが、例え低金利ではあっても利息は発生しますので、キャッシュで買った方が得か、ローンが得かと言いますと、当たり前ですがキャッシュで買った方が得です。
仮に、3,000万円、金利1.5%、期間30年、元利均等返済の場合(ボーナス返済なし、金利の変動がなかったと仮定して)
毎月の元利返済金額は103,536円になります。これが30年(360回)ですから、
総返済額は、103,536円×360回=37,272,960円となりますよね。
差額の約727万円が利息です。金利が1.5%で変わらなかったと仮定してもこれですから、金利が上昇すれば、当然に返済額は増えます。どうですか?とても借りたほうが得とは思えませんよね。
住宅ローンを借りた場合、得する事と言えば、住宅借入金等特別控除がある事でしょう。⇒こちら、国税庁のホームページです。
ざっくり言えば、年末の住宅ローン残高の何パーセントかが、数年間に渡り、自分の納めた所得税の範囲内で戻ってくる、というものです。あえて何パーセントかが、数年に渡り、と言っているかと申しますと、購入した、あるいは建てたお家に住んだ年によって、条件が違うからです。
ちなみに、居住の用に供した年が平成26年4月1日から平成29年12月31日までの間なら、控除期間は10年で、各年の控除額は年末残高等×1%です。
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つまり、上記の3,000万円、金利1.5%、期間30年、元利均等返済の場合(ボーナス返済なし、金利の変動がなかったと仮定して)。
ローン控除の対象となる残高はあくまでも12月末時点となりますので若干は変わりますが、当初10年間はざっくりとこうなります。
年 |
返済額 |
利息 |
元金 |
残高 |
残高×1% |
---|---|---|---|---|---|
1 |
1,242,433 |
444,529 |
797,903 |
¥29,202,097 |
¥292,021 |
2 |
1,242,433 |
432,478 |
809,955 |
¥28,392,142 |
¥283,921 |
3 |
1,242,433 |
420,245 |
822,188 |
¥27,569,954 |
¥275,700 |
4 |
1,242,433 |
407,827 |
834,606 |
¥26,735,348 |
¥267,353 |
5 |
1,242,433 |
395,221 |
847,211 |
¥25,888,137 |
¥258,881 |
6 |
1,242,433 |
382,426 |
860,007 |
¥25,028,130 |
¥250,281 |
7 |
1,242,433 |
369,436 |
872,996 |
¥24,155,133 |
¥241,551 |
8 |
1,242,433 |
356,251 |
886,182 |
¥23,268,951 |
¥232,690 |
9 |
1,242,433 |
342,866 |
899,566 |
¥22,369,385 |
¥223,694 |
10 |
1,242,433 |
329,280 |
913,153 |
¥21,456,232 |
¥214,562 |
年末の残高の1%、つまり表の右の金額が、10年間、支払った所得税から戻ってきます。上限は40万円で、認定住宅の新築等に係る住宅借入金等の場合は上限50万円です。
上記の例で、控除額を合計しますと、おおよそ254万円ですので、支払う利息727万円には遠く及びません。大体、これでイメージがわいたのではないでしょうか?確かに、住宅借入金等特別控除は所得控除ではなくて税額控除なので、基本的には表の右側の金額が直接戻ってくるイメージですから、結構助かります。
住宅借入金等特別控除を受けるには、初年度は確定申告する事が必要で、次の年からは年末調整で済ます事ができます。初年度は指定した口座にお金が直接振り込まれてきますし、翌年からは年末調整をして清算します。また、控除を受けるには色々要件があります。年収の制限や、建物の広さなどの条件があります。また制度もころころ変わりますので、国税庁のホームページなどで確認をお願いします。
さて、最初の問いである、家を建てる時ローンを組んだ方が得か?についてですが、当然キャッシュで支払った方が特に決まっています。ただし、キャッシュが貯まるまで待っていられないのが実情ですよね。ですからローンを組むのは仕方がないとして、なるべく借入金額を少なくするのが賢明でしょうね。
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