住宅ローンの借換で、メリットの算出方法を解説します
- 住宅ローンの借換を検討している、或いは勧められたけど、本当にメリットがあるのか自分でも計算してみたい。
- 住宅ローンの借換メリットの計算方法は?
本文ではこのような疑問にお答えします。
この記事を読むことで、住宅ローンの借換メリットの算出を自分ですることが出来るようになります。
この記事を書いているのは民間の銀行に20年以上勤務していた元銀行員ですので、記事の信頼性は確保されていると思います。
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住宅ローンの借換メリットはどうやって出す?
住宅ローン借換メリットを算出する際の考え方
住宅ローンの借換メリットを算出するにはまず、今の住宅ローンの返済予定表を用意します。
住宅ローンの借換メリットの算出は、
諸費用を自己資金で賄う場合は、
借換メリット=現在の住宅ローンの総返済額−借換後の総返済額−自己資金−諸費用
で算出します。
諸費用も新しく借りる住宅ローンに組み込む場合、
借換メリット=現在の住宅ローンの総返済額−借換後の総返済額−自己資金
で算出します。
要するに、住宅ローン借換メリットを算出する際の考え方として、
まず最初に、現在借りている住宅ローンを最終期日まで支払う場合、いくら支払わなければならないか?を計算します。
次に、借換後の住宅ローンを最終返済日まで支払った場合、いくら支払わなければならないか?を計算します。
その差額から更に借換に伴う諸費用を差し引きして出た金額が借換メリットとなります。
次に具体的な例を示します。
住宅ローン借換メリット算出の具体例
例えば、現在借りている住宅ローンの条件が以下の場合
住宅ローン名 フラット35
現在残高 35,525,671円
残り返済回数 360回
金利 1.685%(固定金利)
毎月返済金額 125,076円
手元の住宅ローンの返済予定表を見て、まずは次の項目をチェックします。
- 毎月元利返済金額
- 残り返済回数
まずはこれだけで、最終期日までの総返済額がわかります。
上の例だと、
毎月の元利金返済額125,076円×残り回数360回=4,502万円となります。
現在残高は3,552万円ですが、
今後実際に支払うのは4,502万円です。この差額は利息ですね。
次に借換を検討している銀行の住宅ローン条件を調べます。
例えば新しく組む住宅ローンの条件が以下の場合
金利 0.457%(変動金利)
借入期間 360回
新しく借りる方の住宅ローンの総返済額を調べますが、ネットで借換シミュレーションを計算できます。
例えば、
https://www.netbk.co.jp/cgi/RnLoanSimulationScreenChanges.cgi?SID=homeloan_shinki_simu
上のホームページに行って、借入金額を3,550万円、期間を35年、返済方法を元利均等返済、金利を0.457%と入れてみます。
そうすると、毎月返済額は105,544円、総返済額は38,001,878円と出ます。
現在のローンの総返済額4,502万円−借換後のローンの総返済額3,800万円=702万円
ですが、新しい借り入れは3,550万円で、端数の25,671円は自己資金で出している事になりますので、
現在のローンの総返済額4,502万円−借換後のローンの総返済額3,800万円−自己資金2万円=699万円
が、金利差による利息の軽減額として計算できます。
そして、更にそこから借換の費用を計算します。
借換に必要な費用は、以下の通りです
- 事務手数料
- 保証料
- 印紙代
- 返済する銀行に支払う全部繰上返済手数料
- 抵当権設定費用
- 抵当権抹消費用
事務手数料や保証料については銀行によって金額がバラバラです。抵当権設定費用、抹消費用は、それに含まれる登録免許税は同じです。内司法書士報酬額が司法書士によって若干の違いがありますが、大きくは変わりません。
ここでは住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンで借り換えた場合の例を示します。
住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンの場合
事務手数料 766,800円
保証料 0円
印紙代 20,000円
返済する銀行に支払う全部繰上返済手数料 0円
抵当権設定費用 200,000円
抵当権抹消費用 20,000円
合計 1,006,800円
住信SBIネット銀行の場合、事務手数料は借入金額の2%+消費税です。本事例では借入金額が3,550万円ですので、3,550万円×2%×1.08=766,800円と計算できます。
住信SBIネット銀行の場合、保証料は0円です。
印紙代は、借入金額が3,550万円ですので2万円です。⇒国税庁のHP
返済する銀行に支払う全部繰上返済手数料については、本事例では旧債務がフラット35なので、手数料はかかりません。
抵当権設定費用については、内抵当権設定金額(借入金額)の千分の4が登録免許税の金額となります。
借入金額3,550万円の4/1000=14万2千円が登録免許税であり、それに司法書士報酬を合わせ、およそ20万円としました。
抵当権抹消費用についても、土地・建物が1筆(土地の数え方単位)、1棟であれば2万円でお釣りが来るくらいです。
以上合計して諸費用合計を1,006,800円と計算しました。
ですから、この場合の借換メリットは、
現在のローンの総返済額4,502万円−借換後のローンの総返済額3,800万円−自己資金2万円−諸費用100万円=599万円となります。
諸費用も新しい住宅ローンに組み込む場合のメリットの出し方
諸費用も新しい住宅ローンに組み込む場合のメリットの出し方を上の例で考えてみます。
諸費用はおよそ100万円でしたので、3,550万円に100万円を足して申し込むとします。
【住宅ローン借換に必要な資金】
旧債務の残高 35,525,671円
事務手数料 788,400円
保証料 0円
印紙代 20,000円
全部繰上返済手数料 0円
抵当権設定費用 200,000円
抵当権抹消費用 20,000円
合計 36,532,000円
この内、3,650万円を住宅ローンで、端数32,000円を自己資金で賄います。
また、返済額試算ができるサイトで計算してみます。
https://www.netbk.co.jp/cgi/RnLoanSimulationScreenChanges.cgi?SID=homeloan_shinki_simu
借入金額3,650万円、借入期間30年、金利0.457%とします。
すると、毎月返済額108,517円
総返済額39,078,361円と出ました。
諸費用も新しく借りる住宅ローンに組み込む場合、メリットの計算方法は、
借換メリット=現在の住宅ローンの総返済額−借換後の総返済額−自己資金で算出します。
諸費用を組み込んでいますので、そこから更に諸費用分を引かなくて大丈夫です。
本事例の場合、
現在のローンの総返済額4,502万円−借換後のローンの総返済額3,907万円−自己資金3万円=591万円
と計算できます。
フラット35からの借換について
現在借りているのがフラット35なら、団信の保険料を年払いしていると思います。
民間の金融機関なら、通常の団信保険料は銀行の負担となるはずですので、毎年団信の保険料を支払う事もなくなります。
民間の金融機関の場合、通常の団信は保険料が無料で、がん団信や3大疾病を付けると住宅ローン金利に0.2%〜0.3%を上乗せするというパターンが多いです。
毎年6万円づつ支払っていても、10年で60万円ですのでこれも浮く事になりますから、借換の諸経費については団信の支払いがなくなる事である程度カバーはできるでしょう。
余談ですが、上の事例で示した住信SBIネット銀行の住宅ローンの場合、8疾病が付いて金利の上乗せなしです。(令和元年5月時点)
こちらの記事を参考にして下さい⇒住信SBIネット銀行の住宅ローンは、今ある住宅ローンの中では最も有利か?