自営業者の場合、何故審査が厳しくなるのか?必要書類の違い
金融機関によって審査方法は異なりますので一概には言えません。一般的なお話をします。
何故、自営業者の審査が厳しくなるのか?
サラリーマン(給与所得者)と自営業者で、必要な書類の違いは所得資料と確定申告書3期分です。
所得資料・給与所得者の場合
・源泉徴収票
・公的所得証明書(役所で取る所得証明書)
それに対して、
所得資料・自営業者の場合
・確定申告書3期分
・納税証明書その1、及び納税証明書その2 それぞれ3年分(税務署で取る納税証明書)
・市県民税の未納がない事の証明書
です。
給与所得者の場合、給与収入を基準に審査します。源泉徴収票の税込年収です。控除された後の給与所得ではありません。自営業者の場合、納税証明その1、その2、市県民税の神納証明書を取るのは、税金の滞納がないかどうかを調べるものです。サラリーマンは給与天引きなので、自動車税や固定資産税等は別として、基本的には所得税や市県民税、健康保険税などの滞納はありません。自営業者で所得税の滞納があった場合は絶対審査は通りません。延納している場合でも厳しくなります。
自営業者の場合は、3年間の平均所得金額を基準に審査する金融機関がほとんどだと思います。売上高ではありません。所得金額です。所得金額は売上高から経費を差し引いて、青色申告の方でしたら65万円の青色申告特別控除を引いた金額となりますので、所得が少なくなるのは当然です。
経費の中には減価償却費も含まれます。減価償却費は、キャッシュは出ていってないのに費用計上を認められているものです。配偶者の方が専従者なら専従者給与を引く事によっても所得は下がります。売上高から諸々の経費を引けば引くほど、所得税は下がります。しかし、住宅ローンを借りる際は、所得金額が低いのは不利となります。
殆どの自営の方は税金はなるべく支払いたくないと思うでしょう(もちろんサラリーマンもそうでしょうが、スーツや靴でさえ給与所得控除以外は経費で落とす事はできません)。例えば何かを買ったり、外食する際には、「これって経費で落とせるかな?」と考えると思います。家族で外食した場合でも、接待交際費として落とせないかと考えるかもしれません。本当はプライベートで使用する車のガソリン代も経費で落としてしまったりとか。
税金を安くするために所得をわざと低くしている場合、当然に住宅ローンの審査は厳しくなります。
貸し手である金融機関にとっては、今後も事業が安定して推移して、毎月の返済原資が確保できるか?という事を審査するわけです。赤字が出ていると返済原資がないので審査が厳しくなるのは当然です。反面、給与所得者の場合は源泉徴収票を見られるだけですし、収入なので赤字なんてものはありません。
それをどう判断材料にするかと言いますと、返済比率です。私の勤めていた銀行だと、
・給与所得者の場合
返済比率(住宅ローンの年間返済額÷給与収入)<40%
・自営業者の場合
返済比率(住宅ローンの年間返済額÷所得の3期平均)<30%
に収まっている事が審査のポイントでした。最初から自営業者の審査方法が厳しいのです。ですから何故審査が厳しくなるのか?というと、自営業者の場合は審査方法が厳しいからです。また、自営業者の中でも白色申告をしている方だと審査はもっと厳しくなります。白色申告だと確定申告書の信ぴょう性が疑われますので。
あとは、事業の内容です。確定申告書の損益計算書だけではなく、貸借対照表も詳しく見られます。どんな事業をしているのか?事業の資金繰りは厳しくないか?今後も安定的に受注を確保できるか?継続性に問題はないか?などという事です。
貸借対照表では、元入金がマイナスしているとその時点で審査対象外という銀行もあります。また、多額の事業主貸がある場合もチェック対象です。
事業主貸とは、資産計上されますが、事業外への支出金ですので、生活費、前年の所得税支払金、小規模企業共済の支払金等の事ですので、個人事業主の純資産を見る場合、
純資産=元入金+事業主借+青色申告特別控除前所得金額−事業主貸
として計算します。純資産=次期元入金となりますが、これがマイナスしていると実際には赤字としてみます。所得金額が5百万円あったとしても、生活費が年間5百万円かかっていたなら他に返済する財源はないとみなします。
給与所得者の場合は源泉帳票だけを見るだけなので、よっぽど潰れそうな会社以外なら返済比率だけ見られるだけですが、個人事業主の場合は以上のようなチェックが入ります。
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自営業者が住宅ローンを組みたい場合の対策
銀行の住宅ローンを組みたい場合、所得金額が少ない場合は、3年間は所得税を多少多く支払ってでも所得金額を多くする必要があります。
銀行の住宅ローンじゃなくて良いなら、フラット35であれば借りられる可能性は高くなります。
何故なら審査の際に、返済比率しか考慮しませんので事業内容がどうだとかは関係ないからです。
国としても個人消費を増やせばGDPが上がりますのでローンを組んででも消費を伸ばしたいと考えています。フラット35は国策としてやっている事なので、審査が若干緩和されています。
フラット35は窓口はたくさんありますが、金利などの条件が違います。ARUHIや、楽天銀行のフラット35なんかがネットでの評価が高いです。
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