住宅ローンと不動産価格の下落

不動産を持つリスクについて述べたいと思います。 地震や火災などの災害、失業など色々リスクはあると思いますが、ここでは不動産価格の変動リスクについての事を考えていきましょう。

 

私の友人が、2008年5月に分譲マンションを買ったのですが、先日会ったときに、たったの半年で同じ分譲マンションが2百万円下がったとこぼしていました。 新聞のチラシで見たらしいのですが、自分が半年前に買ったばかりのマンションが、「大好評に付き、200万円の緊急値下げ!」といううたい文句で売られていたんだそうです。とても大好評でない事は明白です。 業者が見切売り、換金売りしているんだと思われます。もしくは今後もっと市場が冷え込み、まだまだ価格が下がりそうなので今のうちに売っておこうという判断かもしれません。アメリカのサブプライムローン問題が引き起こした金融不安、信用収縮が実体経済を直撃し、アメリカ、ヨーロッパはもとより、中国やインドなどの新興国も急減速、バブルがはじけました。最悪期は脱し、今は落ち着きを取り戻したかのように見えますが、各国の金融機関は多額の不良債権を抱えたままで危機を脱したとは到底言えません。

 

日本も輸出産業が大打撃を受け失業率も上昇、所得の減少、消費の低迷、デフレ進行という状況ですから不動産価格は上がってきにくい状況だと言えるでしょう。もしもバブルが弾ける前に住宅ローンを組んでいたら・・・。自分が家を買ってから大幅に価格が下がってしまった。もしそれが、自己資金で買ったんだったらまだ諦めも付きますが、ローンを組んでいたとしたらたまりません。 不動産の値段が下がってもローンが減るわけではありません。いくら土地の値段が1/10になろうとも、借金は1/10にはなりません。

 

極端な例で言えば、ゴルフ会員権なんかがわかりやすいと思うのですが、例えばゴルフ場が民事再生手続きをしました。5千万円で買ったゴルフ会員権の価値はゼロですが、銀行からの借金はまだ3千万円も残っている・・・・みたいな感じです。 元々余裕資金で買っていたなら損したなぁくらいで済みますが、余裕もないところへ来て借金で買っていたとしたら、返済が重くのしかかってくる事は想像に難くないと思います。住宅も消費資金ですから事は一緒です。

 

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住宅ローンは20年も30年と長く、その中で世の中も色々変化します。 不動産の購入は、不動産価格の変動リスクを考慮する必要があると思います。 インフレが進行しそうであるなら住宅ローンを借りてでも家を建てた方が良いですし、デフレが進行しそうならなるべく借金はしない方が賢明でしょうね。 とはいえ、経済のマクロトレンドを占うのは専門家でも難しい事です。今から10年後、世の中がどうなっているのかなんて専門家でもわかりません。

 

ただ、不動産価格の下落については、いろいろ悲惨な例があります。今、アメリカの不動産バブルがはじけています。年収200万円そこそこの移民が5,000万円もするプール付きの豪邸に住むなんて事は、どう考えてもおかしな事だと(今なら)誰しもが思うはずです。2009年12月のドバイショックもそうですが、何もない砂漠に何故あれほどの投資をしたのか・・・?でもその真っ只中では誰にもわかりません。はじけてしまった後で、それがバブルだったんだとわかります。それがバブルです。

 

しかし日本の不動産バブルも凄かったんです。私たちは過去に学ぶ必要があると思います。もう一度言いますが、不動産の購入は、不動産価格の変動リスクも考慮する必要があると思います。でもそれはとても難しい事です。しかしそこの判断を誤ると悲惨な結果となってしまう事も事実です。 それについては次章にて述べます。先の見通しなんて誰にもわからないのだから、悪くなった時の事を想定して、借りる金額を少なめにするとか、ある程度の預貯金を積み立てておくとかという備えが必要です。最初から背伸びをするのは危ういと思います。

 

 

 

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