住宅ローン、自分はどれくらいまで借りられる?

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そろそろマイホームを検討していらっしゃいますか?

 

本記事では、住宅ローンでどれくらいまで借りられるか?という疑問をお持ちの方に向けて書いています。

 

借入可能額を借りて良いかどうかはまた別の問題です。

 

そのあたりについて解説します。

 

 

この記事を書いているのは民間銀行で20年以上の勤務実績のある元銀行員です。

 

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住宅ローン、どれくらい借りられるか?

民間銀行の場合

一般的に、住宅ローンで借りられる金額は年収の5倍が目安となります。

 

つまり、サラリーマンであれば、前年の源泉徴収票の給与収入額が税込500万円であれば、借りられる金額は2,500万円、700万円であれば借りられる金額は3,500万円です。

 

しかし、どの住宅ローンのパンフレットを見ても、借入できる金額は年収の何倍まで、とは書かれておりません。

 

場合によっては年収の7倍まで貸してくれる銀行もあります。

 

しかし、実際に審査の上では、年収の5倍以上だと長期的な返済は厳しいのではないかという感覚は持っています。

 

3,500万円を金利1%、返済期間35年で借りた場合

 

3,500万円を期間35年の元利均等返済、金利1%で借りたとすると、

 

毎月の返済金額は98,799円です。毎月98,799円を35年間支払い続けなければなりません。

 

総返済額は4,149万円となります。利息が付くからです。

 

年収500万円の人の場合

借入金額は年収の7倍です。

 

年間返済額は118万円なので、返済比率は年間返済額118万円÷年収500万円=23.6%となります。

 

どこの銀行もサラリーマンなら、おそらくは返済比率30%以内という審査基準になっていると思いますので、これでも審査が通るかもしれません。

 

しかし、年収500万円でも手取りは318万円です。年収手取り(200万円〜1億3000万円)を簡単に発見できる年収手取り早見表

 

実質の返済比率は118万円÷318万円=37.10%

 

手取り318万円−118万円=200万円で一年の生活費を賄えますか?

 

年収の7倍はかなり無謀な線であると感じます。

 

年収700万円の人の場合

 

年間返済額は118万円なので、返済比率は年間返済額118万円÷年収700万円=16.8%となり、一見余裕そうに見えますが、

 

年収700万円の人の実際の手取りは515万円です。年収手取り(200万円〜1億3000万円)を簡単に発見できる年収手取り早見表

 

実質的な返済比率は118万円÷515万円=22.9%です。

 

実質手取り515万円−住宅ローン返済118万円=397万円 残った397万円で水道光熱費、食費、固定資産税、教育費、保険料、貯蓄をしする事になります。

 

あなたの感覚ではどうでしょうか?

 

これなら余裕だと思う人も、とても無理と思う人もいるでしょう。

 

何故なら、夫婦共働きで子供がいない場合はこれでもかなり余裕があるでしょうし、子供がいて私立の小学校に通っているとか、お金のかかる習い事をやらせているなどという事情があればこれでも厳しくなると思います。

 

私個人の感覚だと、年収の5倍で、最長の35年で借りたとしても、返済はちょっと厳しいと思えます。しかし、共働きであるとか、子供が少ないとか、預金をまぁまぁ持っているとか、色んな条件が人によって違いますので、必ずしも年収の5倍までというわけではないのですが、そこが一定の基準になるのは確かでしょう。

 

フラット35の場合

フラット35の場合、どれくらい借りられるかは明確です。

 

年収400万円未満の人は、返済比率30%以内

 

年収400万円以上の人は、返済比率35%以内

 

これを満たせば良いのです。

 

つまり、年収からどれぐらい借りられるかを逆算する事ができます。

 

仮に年収500万円であれば、500万円×35%=年間返済額175万円となります。

 

175万円を12か月で割ると、14.5万円ですが、毎月の返済額が14.5万円に収まっていれば良いわけです。

 

仮に5,000万円、金利1%、期間35年で借りた場合、

 

毎月の返済額は141,142円ですので、14.5万円に収まります。

 

フラット35の場合、基本的には返済比率を満たせばOKなので、年収500万円の人でも5,000万円の借入をすることは可能です。

 

三井住友銀行のホームページで返済シミュレーションができます⇒https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/ganri_sim.html

 

年収に35%をかけて、1年間のご返済総額がその範囲に収まっていれば良いので、借り入れ可能金額がわかります。

 

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身の丈に合った借り方をするという事が大事

皆がやっている事だから大丈夫という考えは危険

今は核家族が多く、多くのパターンとして、結婚してまずはアパートを借りて二人で住みます。暫くして子供が一人生まれ、二人目も生まれるとだんだんアパートが手狭になり、マイホームを検討し始めます。

 

週末にハウジングセンターなどに足を運びます。ハウスメーカーの営業マンから、 「ここにはお父さんの書斎を作って・・・。」 などと言われ、 「銀行に安い金利で口利きできますよ。」 とか、 「今払っている家賃はもったいなくないですか?住宅ローンを組めば家賃を払っていく感覚で持ち家が手に入りますよ。」 なんて営業トークですっかりその気になってしまいます。

 

営業マンの口利きで、銀行から固定金利選択型3年の金利の安い住宅ローンを借ります。しかも頭金なしのフルローンで・・・なんてパターンは非常に多いと思います。

 

別にそれが必ずしも悪いと言っているわけではありませんが、最近ではあまりにリスクを軽視し、単に家賃払うのはもったいないから、とか、○○ちゃんとこも、××さんとこも、みんな3千万円も4千万円も住宅ローンを組んで家を買ったから・・・などと、皆がやっている事だから大丈夫だろうと、リスクを意識せず、安易に住宅ローンを組んでしまう事は良くありません。

 

〇〇ちゃんとこの旦那さんの年収は1千万円以上あるかもしれませんし、預金も1千万円くらい持っているかもしれません。家計の事情は人それぞれです。

 

住宅ローンも、車のローンも、教育ローンも皆やっているからという考えは危険です。そうやってローンを3つ4つ増やす事で多重債務者予備軍になっていきます。

 

借入金額は年収の5倍を目安にする

 

住宅ローンはリスクがあるからと言って、別に家を建てるなとか、住宅ローンを借りるななどと言っているわけではありません。

 

後から失敗したと思わないために、充分リスクを考えた上で借りる事、身の丈に合った借り方をするという事が大事だという事です。

 

目の前の夢(多少無理しても住宅ローンを組めば、憧れのマイホームが手に入るという事)ばかりに心を奪われているうちは、多少不利な事には目をつぶりたくなるものです。そうではありませんか?

 

夢を見る事は結構ですが、こういう時ほど冷静な頭で対処しないといけません。年収の何倍もの借金を抱え込む事は、それ相応の慎重さが必要です。

 

年収500万円の人が、借りられるからと言ってフラット35で5,000万円を借りることは、ちょっと無謀かなと思います。

 

借りるのであれば、年収の5倍まで、実際は5倍でもちょっときついかもしれませんが、それでも5,000万円借りるよりは2,500万円借りた方がはるかにリスクは小さいので、これを目安にすべきかなと思います。

 

つまり、2,500万円で買える物件を探す事。もしくは自己資金を出して、借入をそこまでに抑える事でしょうか。

 

家賃を払うよりもローンを組んだ方が得、は本当か?

 

先日、友人の結婚式で何年かぶりに中学時代の同級生に会いました。

 

その友人も建売物件購入資金として4,000万円のローンを組んだらしいのですが、借りる前は何とも思わなかったそうです。税込み年収は500万円もないと言っていました。

 

しかしローンを払い始めて間もなく、4,000万円という金額の大きさに不安になったと言っておりました。極端な話、家賃より得だくらいにしか思わなかったというのです。そうやってセールスを受けている以上そう思ったとしても仕方がないかもしれません。

 

でも冷静に考えて下さい。年収の7倍、8倍ものローンを組む事は相当リスクが高い事であると思いませんか?

 

家計は現状でもいっぱいいっぱいだって話でしたから、子供が大きくなったら相当厳しいのではないかと思います。それでもいくぶんかの貯金があるなら良いと思うのですが、貯金もないというのでしたらそれは危険極まりない事です。

 

しかし、そもそも、本当に家賃を払うよりもローンを組んだ方が得なんでしょうか?

 

住宅ローンの支払いがそれほど負担にならない方なら良いと思います。

 

しかし、目いっぱい借りてしまったが為に、現状でも家計が厳しいという場合、下手をすると家のせいで人生が台無しになってしまいます。

 

私個人としては無理して家なんか買うもんじゃないと思います。

 

 

アパートを借りている場合だと、まずローンを支払わなくても良いので利息の負担がありません。火災保険、地震保険も加入しなくても良いですし、固定資産税も支払わなくても良いです。

 

どこか壊れたら大家さんに言えば(自分の責任でなければ)直してくれますが、持家の場合、10年や20年に一度外壁を塗りなおしたり、コーキングをしなおしたりするのにお金が要りますのでその分の資金も貯めておかないといけません。

 

まとめると

 

無理をして住宅ローンを組む必要はない。住宅ローンを組むなら無理のない範囲(年収の5倍まで)で。

 

無理な金額を借りて人生が台無しになるくらいなら賃貸アパートに住んでいた方がマシ。